プーチンが「核」を使わずにウクライナ紛争を終わらせる“唯一のシナリオ”

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ロシアの軍事侵攻開始から3ヶ月が経過するも、まったく終わりの見えないウクライナ紛争。西側からの経済制裁もじわじわと効果が上がってきているとも伝えられる中、プーチン大統領による核兵器使用への懸念がますます高まっています。その惨劇から逃れる手立てが一つだけ存在すると書くのは、ジャーナリストの内田誠さん。内田さんは自身のメルマガ『uttiiジャーナル』で今回、核使用回避の唯一のシナリオを紹介するとともに、その実現のために日本が果たすべき役割を考察しています。

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様子が大きく変わったウクライナ戦争と日清・日露戦争のこと:「デモくらジオ」(5月20日)から

日清戦争、日露戦争の話は遠い昔の話ですけれども、今日のお話はそこに戻っていく話になります。あらかじめ申し上げておきます。

ウクライナの話から始めますが…。先週のこの放送の時に、1週間か2週間以内に非常に大きな事態の転換があるのではないかと申しておきました。もちろん、単なる当て推量です。私、ウクライナの人を取材というか、会ったことはありますけれども、ウクライナに行ったこともないぐらいですので、一つの当て推量に過ぎないのですが、やっぱり、この1週間で様子は大きく変わりましたね。それは間違いのないことだと思います。

二つ大きな出来事がありました。

小さい方の出来事からいうと…これを小さいと云うのはもしかしたら疑問に思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、マリウポリの製鉄所にこもっていた、戦っていた、正確な人数は分かりませんが、これまでに投降したアゾフ大隊の人たちの数からいえば1,700人あまり。まだ立てこもっている人が実はいるということなので、全体で何人かは分からないのですが、この人たちが武器を捨てて投降しました。

ウクライナ側の言い方は、任務を完了したと。もうそこから先、戦う必要はないですよと、ウクライナの当局が指示を出してそれに対して立てこもっていた人たちが投降した、ということなんですね。このニュースは、ロシアはこの軍事行動に関しては戦争ではなく、特別軍事作戦であるとずっと言っている。まあ、かつて日本も戦争ではなくて事変という言い方をしていましたけれど、それよりもさらに抽象的で曖昧な概念ですが。特別軍事作戦で相手を捕虜にする、これも戦争の捕虜とはちょっと違うのかもしれませんが、この人たちの処遇に関する懸念が色々と言われています。何しろ、民間人を、かなり多数の民間人、丸腰の人たちを大勢殺害したと見られているロシア軍のことですから、軍事侵攻の一つの理由付けである「非ナチ化」、これ、単なる言いがかりだと思いますけれど、つまりナチス、ネオナチの軍隊であるということで、その人たちを捕虜にした。その人たちに対してどういう処遇をするのか、大変心配されるわけです。それが一つということですね。

ただ、これは投降したウクライナ軍の論理からいえば、製鉄所に1万人以上のロシア兵を引きつけて3ヶ月間耐えたということですよね。今やマリウポリは完全制圧されたので、そこを攻撃するために包囲していたロシア軍は、別方面にようやく展開することが可能になった。ウクライナ側からすれば、そこまで引き延ばしたということですよね。これは非常に大きな意味があって、北部の方というか、東部戦線と云われる第二の都市ハルキウを巡る様々な戦いが非常に激しく行われているわけですけれども、ここにロシア軍が集結するのをある意味で防いでいたということになる。

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