横須賀の住民がわざわざコップ持参で訪れる「ヴェルニーの水」の長い歴史

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2017/05/31

横須賀といえば、「米軍基地」というイメージが強いですが、実は知る人ぞ知る名水スポットでもあるそうです。「ヴェルニーの水」という名称で、地元ではわざわざ水を汲みに来る人も少なくないのだとか。

今回は、そんなヴェルニーの水の由来と周辺のおすすめスポットなど、横須賀の知られざる魅力をご紹介していきます。

地元では有名な横須賀の「ヴェルニーの水」

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米軍基地やドブ板通りなど、アメリカ的な印象が強い横須賀(そーいえば、スカジャンの発祥地でもありますね!)ですが、実は「水の街」としての顔も持っているのをご存知でしたか?

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とくに「横須賀水道の発祥の地」といわれる国道16号に面した走水(はしりみず)水源地は古くからの湧水地。関東大震災でも枯れることなく、日量1000㎥もの水を供給しています。なかでも水を汲む人が途切れないスポットが「ヴェルニーの水」

「ヴェルニーの水」を汲みにやってくる地元の人たち

この「ヴェルニー」ってなんだか知っていますか?実は人の名前なのです。江戸幕府が1865年にフランスから招聘した技術者が、フランソワ・レオンス・ヴェルニー氏

ヴェルニー氏 image by: Wikipedia commons

横須賀製鉄所観音崎灯台などは、このヴェルニー氏の指導によって建設されたものなのです。つまり「近代横須賀の礎」を築いた人物が、ヴェルニー氏というわけ。ヴェルニー公園ヴェルニー記念館なども横須賀市内にあります。

image by:photoAC

横須賀はペリーの黒船が来航した浦賀に近いエリア。 ここに海軍施設や造船所、製鉄所が作られたのは、この地域が幕府のある江戸に近いこと悪天候の影響を受けにくい「入り江」であること、そして艦船が停泊するのに好条件な海の広さと深さを兼ね備えていたことから。

近代化が着々と進み、横須賀造船所の稼働率が高くなった頃、水道管を引くことになり、ヴェルニー氏が目をつけたのがこの走水の湧水群。この地に4カ所のトンネルを掘り、結果、約7kmの水道管が完成しました。

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そのような歴史を背景に、横須賀の発展に貢献したヴェルニー氏を讃えるために2008年に「よこすか水道給水100周年記念事業」として、駐車場を整備した「ヴェルニーの水」が誕生しました。(その昔も「ヴェルニーの水」と名付けられた水汲み場はあったものの、一時期閉鎖されていた)


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カルシウムを多く含むこの水は水源地の水そのものではなく、塩素処理が施されていますが、飲んでみるとまろやかな口あたり。 この地に長く湧き続けている良質な水だけがあり、あの黒船の乗船員たちの喉も潤した?と思いながらいただくと、感慨深いかも…。

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