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なぜリストラ進む米国で自主退職者が急増?労働者の39%がフリーランスを選ぶ事情。「大辞職」の波は日本にも=高島康司

アメリカでは大規模なリストラが行われている一方、「大辞職(The Great Resignation)」と呼ばれる従業員が自主的に大量に会社を辞める現象も起きている。退職しているのはスキルを持ち、フリーランスでもやって行ける人々がほとんどだ。近いうちにこの「大辞職」の津波は日本も襲うことになるだろう。(『 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 』高島康司)

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「大辞職(The Great Resignation)」とは何か?

いまアメリカ国内では奇妙な現象が起こっている。それは、「大辞職(The Great Resignation)」と呼ばれる現象だ。多くの人々が自主的に会社を辞めているのだ。「大辞職(The Great Resignation)」とは、「世界恐慌(The Great Depression)」をもじって銘々された言葉である。

1929年から始まる「世界恐慌」は、その後の世界史の転換点となった出来事だった。そこまでは行かなくても「大辞職(The Great Resignation)」は、今後の資本主義の在り方を変化させる転換点になるのではないかというニュアンスも込められた銘々だ。

周知のように、いま公開されているアメリカの経済指標は決して悪いものではない。米労働省が6日発表した2022年12月の雇用統計によると、非農業部門の就業者数は前月から22万3,000人増えた。伸びは市場予想の20万人を上回った。失業率は3.5%と予想に反して低下し、約50年前の記録と並んだ。アメリカの人手不足の深刻さを改めて裏付ける結果となった。

また、企業の求人件数は新型コロナパンデミック前の約700万件から22年3月に約1185万件まで急増した後、11月になっても1,045万件と高水準で推移している。あらゆる規模の企業から依然として人手不足に対する深刻な懸念が聞こえている。

こうした売り手市場の状況を反映して、名目賃金も上昇している。昨年の11月の数値だが、6.17%の伸びだ。もちろん7.1%とインフレが高止まりしているので、実質賃金は逆に低下しているものの、GDPの成長率は以前として高めに推移している。2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は前期比年率で2.6%だ。ちなみに日本の成長率は1.6%だ。

こうした数値を見て、アメリカ経済は依然として力強く、不況に入ることは考えにくいとの見通しを持つ専門家も多い。

リストラが進むアメリカ

しかし、これらの数値は数カ月遅れの指標であり、決してリアルタイムの現状を表していない。前回の記事でも紹介したように、経済紙の「ブルームバーグ」の調査によると、すでに70%のエコノミストが2023年にはアメリカが不況に入ると予測している。ただそれが、短く浅いものになるのか、長く深いものになるのかのコンセンサスがない。両方の見方がある。

【関連】2023年アメリカの景気後退は本当に来るのか?見えてきた不況の深刻度とリーマン・ショック再来の可能性=高島康司

しかし、2023年に入ってからでも大手の企業が大規模なリストラを一斉に行っている。「アマゾン」がリストラの人員を1万人から1万8,000人に増やしたのは広く報道されているが、それだけではない。アメリカの大手主要メディアが2023年に報道した大企業のリストラはあらゆる分野に及んでいる。その一部を列挙した。以下である。

・大手営業ソフト開発企業の「セールスフォースIは、リストラ計画の一環として、約10%の従業員を削減する予定であると発表した。一部の不動産から撤退し、オフィススペースを削減するともしている。

・ストリーミング大手の「Vimeo」は、従業員の11%が永久に解雇されるとしている。

・衣料品のオンライン販売大手の「StitchFix」は、従業員の20%を削減すると発表した。また、ユタ州ソルトレイクシティの施設も閉鎖されるとのこと。

・暗号通貨取引の大手「Genesis」は、6ヶ月未満でレイオフの第2ラウンドを実施し、従業員の30%を削減した。

・暗号資産大手の「Silvergate Capital」は、従業員の40%を削減した。

・NFTマーケットプレイスの「SuperRare」を運営する「SuperRare Labs」は、30%の人員削減を発表した。

・バイオテクノロジー大手の「Biocept」は30%の人員削減を発表した。

・食品販売大手の「Compass」は、昨年の2回のリストラでは財務状況は改善しなかったので、3回目のリストラを行うと発表した。また、本社オフィスの転貸を決めた。

・「マクドナルド」は、今後数カ月の間に20万人の従業員のリストラを決定した。

まだ1月に入って2週間も経っていないのに、あらゆる分野の大手の企業が大規模なリストラを軒並み発表している。そして、驚かされるのはその規模だ。20万人をリストラする「マクドナルド」を筆頭に、数千から1万人単位のリストラが相次いでいるのだ。

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