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NYの視点:次回会合で50BP利上げ観測も存続、市場とFRBの金利見通し乖離さらに拡大

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米労働省が発表した12月生産者物価指数(PPI)は前月比−0.5%と、11月+0.2%から8月来のマイナスとなった。伸びは予想を下回り、過去最低となったパンデミック直後の2020年4月来で最低。前年比では+6.2%と、6カ月連続で伸びが鈍化、予想も下回り昨年3月以降で最低の伸びとなった。変動の激しい食料や燃料を除いたコア指数は前年比では+5.5%と、3カ月連続の伸び鈍化で、21年4月来で最低の伸びとなり、先週発表された消費者物価指数(CPI)に続きインフレ圧力の鈍化が証明された。

また、米国経済の7割を消費が占めるため注目の小売売上高の12月分は前月比-1.1%と、11月−1.0%に続き2カ月連続のマイナスで21年12月来で最低。国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車や建材、給油、食品を除いたコントロールグループと呼ばれるコアの小売りも‐0.7%と、予想を下回り1年ぶり最低となった。11月の‐0.2%に続き2カ月連続のマイナス。12月の悪天候が主要因とされている。

アトランタ連銀は10−12月期の国内総生産(GDP)成長見通しを従来の4.1%から3.5%へ下方修正。ただ、依然プラス成長を維持している。

連邦準備制度理事会(FRB)が9日までに集めた情報をもとにクリーブランド連銀がまとめた地区連銀経済報告(ベージュブック)の中で、経済活動は前回報告からほぼ変わらずと判断された。小売り業者は高インフレが消費を抑制していると指摘したものの、旅行関連が強く消費は小幅改善。サプライチェーンの混乱に緩和が見られ、物価の上昇も緩慢、緩和的に勢いが鈍化したと指摘されている。ただ、雇用はペースは鈍化も引き続き拡大しており、需要鈍化にもかかわらず、企業は人員削減に消極的と指摘されている。インフレは鈍化も、依然コアはFRBの目標を上回る。また、強い労働市場は追加利上げを正当化する。

セントルイス連銀のブラード総裁が指摘している通り、欧州も景気後退が回避できる見込みとなっている。中国が本格的に経済を再開した場合、世界経済の改善が米国経済にとってもプラス材料となり、ソフトランデイングの可能性をより強める。需要増で商品価格も再び上昇しインフレ上向きリスクとなる可能性は十分にある。

低調な経済指標やインフレの鈍化で短期金融市場は次回会合での25BPの利上げで、ピーク金利を4.85%前後に引き下げた。一方で、ブラード総裁はインフレの上向きリスクへの対処として前倒しで利上げを行うべきだと主張。次回会合でも50BPの利上げが適切と主張しており、年内に5.5%近く金利が上昇すると見ている。市場とFRBの金利見通しの乖離はますます広がっており、ドルも当面乱高下が予想される。

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