金正恩「愛娘」の名前も新たに追加。北朝鮮で禁じられている“名前”

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昨年11月に写真が初公開されて以来、公共の場に姿を見せたことが頻繁に伝えられる金正恩国務委員長の愛娘。現在北朝鮮は、彼女の「偶像化」に余念がないようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、金一族の動静を伝える報道から読み取れる「彼らの意図」を解説。さらに正恩氏の娘と同名の人民に対して改名が命じられたというニュースを紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年2月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

キム・ジュエの偶像化に奔走する金正恩政権、「ジュエ」の名前はやんごとなきお方の娘1人だけで、あとの同名の子は改名せよ

北朝鮮の朝鮮切手社は2月14日、新たに発行する記念切手のデザイン8種類を公開した。

金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が昨年11月に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17」の発射実験を視察した際の写真を使ったもので、この8種類のうちの5種類の切手に娘のキム・ジュエさんの姿がある。キム・ジュエが金正恩の次女と言われているが、漢字表記は「金主愛」「金朱愛」と識者によって異なる。

キム・ジュエが切手に登場するのは初めてで、ジュエの偶像化の一環とみられている。切手には、ジュエが金正恩とミサイルをバックに手をつないでいる場面や2人が腕を組んでポーズをとっている場面、兵士らと記念写真を撮影している場面などがあしらわれている。

父と娘の姿を中心に移動式発射台に載せられたミサイルの姿や、「不敗の核強国の威容を満天下に誇示」とか「朝鮮の戦略的な力、絶対的な力を万邦に誇示」といた宣伝文句が切手を飾っている。

北朝鮮メディアは、火星17発射実験翌日の昨年11月19日、金正恩が「愛するお子様」と李主雪夫人を連れて発射を指導したと伝え、金正恩とジュエがミサイルの発射に立ち会う様子を公開していた。

さらに、2月8日夜に平壌の金日成広場で朝鮮人民軍創建75年を記念する軍事パレードに、金正恩は娘の金主愛と手をつないで赤絨毯(じゅうたん)を歩いて会場入りし、ひな壇の上でも娘と顔を寄せ合い観覧する様子をメディアが報じた。このパレードには金主愛のものと推定される白馬が登場したとのこと。

さらに、北朝鮮のメディアは2月18日、金正恩が17日に娘とともに、16日の故金正日(キム・ジョンイル)総書記の誕生日を記念したスポーツ競技を観戦したと伝えた。

名前がキム・ジュエされる娘が公式の場に登場するのは6回目で「愛するお子様」と言う呼称で紹介された。娘のこれまでの同行は軍事関係の行事が主だったが、今回初めて軍事分野以外の活動で付き添った。幹部や住民が忠誠を誓うべき金体制の次世代の象徴として娘が登場する場面が増えそうだ。金正恩の妹の金与正(キム・ヨジョン)党副部長も一緒に観戦したが、娘が金正恩と並んで真ん中に座ったのに対し、金与正は後ろの席に控え、金一族の中でも娘を偶像化の対象とする意図が見られた。もっとも、金正恩は娘の前でもたばこを手に観戦していたというからとんでもない帝王学を見せたものである。

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