シンガーソングライターの山下達郎さん(70)が、オールナイトニッポン55周年記念のラジオ番組で、ジャニーズ事務所創業者の故・ジャニー喜多川さんとの“ハードな思い出”に言及。達郎氏が作曲して大ヒットしたKinKi Kidsのデビューシングル『硝子の少年』(1997年)に、ジャニーさんがなかなか「Goサイン」を出さなかった当時を振り返りました。キンキの堂本剛さん(43)とジャニーさんの深い深い絆とは?芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。
山下達郎が語る、ジャニー喜多川とのハードな思い出
先週末は『オールナイトニッポン(ANN)55時間スペシャル』に釘付けでした。
タモリ、中居正広、吉田拓郎、電気グルーヴ…次から次にラジオから聞こえてくる彼等の声は新鮮でもありました。
まぁほとんどが事前収録だったので“放送事故”的サプライズは期待できなかったものの、何となくただ流していたり、かじり付いて聴いていたりと、それこそ四六時中ラジオの魅力を実感した55時間でした。
私がかじり付いて聴いたのは山下達郎と上柳昌彦のプログラム。
スラスラと、少々早口の達郎の声はやはり昔と同じく心地良いものでした。
早口ですから一語一句聴き逃すまいとラジオの前で正座状態だった私は、“こういう人は私生活でも結構せっかちだったりするんだろうな…”とも思いながら、竹内まりやの苦労が透けて見えたような気分になりました。
リスナーからのリクエストに応えた形で流されたのは、今から43年前!の『RIDE ON TIME』です。
今の方達にしてみれば、すぐに結び付くのは2003年1月期オンエアの『GOOD LUCK!!』でしょうが、私には『マクセル・カセットテープ』CMです。
『GOOD~』は木村拓哉を主演に最高視聴率37.6%、全面協力していた『全日本空輸(ANA)』の株価を急上昇させたという伝説のドラマです。
ラジオで山下はサラッと「これ、木村君の方からこの曲でやりたいって言ってきたんですよ」と早口で喋っていました。
当時三十路を超えたばかりのキムタクは、この曲にどんな思い入れがあったのでしょうね。
ドラマのオンエア中には次女・Kōki,が誕生した頃の話です。
キンキの堂本が可愛すぎてデビューさせたくない?
また、リクエストに応えた『KinKi Kids 』1997年のデビュー・シングル『硝子の少年』の話は、私をラジオに1歩も2歩も近付けることになりました。
この製作にプロデューサーだった故・ジャニー喜多川さんから“なかなかGOサインが出なかった”的な話をしみじみと述懐していました。
散々ごね捲られた挙句、“ジャニーさんはね、可愛いやつはデビューさせたくないんです。いつまでも近くに置いておきたいタイプ。だからこそ完璧な形でのデビューを考えていた”と暴露します。
“可愛いやつ”…それはおそらく堂本剛のことです。
そしてキンキと同じく『少年隊』も可愛がっていたとも…。
1981年デビューの『少年隊』の、3人のうちの誰がジャニーさんのお気に入りだったのかは今となっては知る術もありませんけれど。
ジャニーさんが大事に大事に可愛がっていた“子供”たちの楽曲製作は“攻防がいつもあるんです。僕だけじゃなく…ジャニーさんの愛情の強さがそうさせるというか…”と、山下は独特の言い回しでそのハードさを表現していました。
私が山下と言ってすぐ思い出すのは、屋根が特徴的な彼の自宅です。
何度か張り込み取材をしたこともありますが、人気アーティストの自宅というのは何か独特の“佇まい”…空気感が漂っているものなんです。
凡人を寄せ付けないような、一帯が強いオーラで包まれているような感じが…。
長時間張り込み、ようやく玄関横のガレージが開き始め、山下が私の前に姿を現した時のあの瞬間の“圧”は、いまだに忘れることができません。
もちろん『55時間ANNスペシャル』の全てを完璧に聴いたわけではありませんが、懐かしかったり新鮮だった昨今のアーティストの声は、私には久々に楽しめた企画ものでした。
【関連】山下達郎・竹内まりや夫妻から歌謡曲、J-POPまで。稀代のベーシスト伊藤広規が爪弾く“素晴らしき音楽人生”
昔は聞きたいプログラムがあると、スタート時間と同時にそれこそ『マクセル』のカセットテープを入れて“再生”と“録音”ボタンを一緒に押したなぁ…なんて思い出しもしました。
今では『radiko』のタイムフリー機能に助けられている私です。
プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao
記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」
image by: 堂本剛公式ウェブサイト