経口中絶薬、来月にも承認判断 国内初、費用面で課題も―厚労省

2023.02.27
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by 時事通信


経口中絶薬について厚生労働省の担当者に要望書を提出する産婦人科医などの有志団体「セーフアボーションジャパンプロジェクト」の遠見才希子代表(左から2人目)ら=21日午後、東京都千代田区

経口中絶薬について厚生労働省の担当者に要望書を提出する産婦人科医などの有志団体「セーフアボーションジャパンプロジェクト」の遠見才希子代表(左から2人目)ら=21日午後、東京都千代田区

 人工妊娠中絶のための国内初の飲み薬について、厚生労働省は3月にも薬事分科会を開き、承認の可否を示す見通しだ。承認されれば、国内では手術が中心の中絶手段に選択肢が増えるが、海外よりも高額となる見通しの費用など課題を指摘する声もある。
 審査されているのは英製薬企業ラインファーマの日本法人が申請した「メフィーゴパック」。妊娠継続に必要な黄体ホルモンの働きを抑える「ミフェプリストン」と、子宮を収縮させる働きがある「ミソプロストール」を組み合わせて使う飲み薬だ。
 厚労省などによると、同様の経口中絶薬は1988年にフランスで初めて承認され、少なくとも65以上の国と地域で使用されているが、日本では金属製器具による「掻爬(そうは)法」が中心。感染症などの合併症の発生率も高く、世界保健機関(WHO)は2012年に「安全性に劣る時代遅れの中絶法」と指摘していた。
 また、WHOは経口中絶薬を妥当な価格で提供されるべき「必須医薬品」に指定しており、海外では1000円以下で入手可能な国もある。しかし、国内では中絶手術は通常、保険が利かないため、中絶薬も10万円程度になるとの見方があるという。
 産婦人科医など有志の「セーフアボーションジャパンプロジェクト」は21日、約6万8000人分の署名と要望書を同省に提出。遠見才希子代表は「高額な費用は安全な中絶へのアクセスを妨げる要因になる」として、自己負担額を下げることなどを求めた。
 厚労省の専門部会は1月、メフィーゴパックの薬事承認を了承したが、同省は「社会的な関心が高く、慎重な審議が必要」として、2月末までパブリックコメント(意見公募)を実施中。薬事分科会は集まった意見を踏まえて、3月にも判断を示す。(2023/02/27-13:32)

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