障害児や要介助者の親御さんの間で広く重宝されていたというユニクロの商品を巡って、一時は終売になる方向だったのが、それを危惧するレビューが相次いだことを受けて、一転して販売継続が決まるといった出来事が、SNS上で大いに話題となっていたようだ。
今回取沙汰されている「KIDS コットン前あきクルーネックボディスーツ(半袖)」は、「動いてもはずれにくく、着脱も簡単なプラスチックスナップボタン仕様」「コットン100%のフライス素材」「ぬいしろが肌にあたりにくい仕立て」などの特徴を持つ商品。また、ベビーサイズ用のボディスーツは他社にも存在するなか、110~160cmといった大きなサイズを展開しているのも珍しいという。
そういった特徴から、体が不自由な子やアトピーの子、オムツを触ってしまう子、胃ろうや呼吸のための管をつけている子に着せる服としても重宝がられていたというのだが、いっぽうでここに来て、欠品するサイズが出たり、価格が大幅に値下げになるなど、明らかにそのまま終売となりそうな兆候が表れたとのこと。
そのため、とある人物が「廃番にしないで」という呼びかけをSNS上で行ったところ、瞬く間に拡散されることに。それらの声に応ずるようにユニクロは、当該商品の販売継続を決定したと表明したというのだ。
障害者雇用に積極的な社風ゆえの決断か
毎シーズンおびただしい数の新商品が発売されるいっぽうで、例え大いに人気を博したアイテムでも、しばらくするとひっそりと終売・廃番になっていたという話もよく聞かれるユニクロ。
久しぶりに店頭やオンラインストアを覗いてみたはいいが、お目当てのアイテムがすでに扱っておらず、「売ってるうちにまとめ買いしておくべきだった」などと後悔するような声も、ネット上ではかねてから頻繁に目にするところである。
この記事とは直接関係しない話だけど、ユニクロってすぐ品切れになるよね。定番モノでもすぐ品切れ。
売れないからって「廃番にしないで」→投稿理由を知ったユニクロが5日後に英断 「声って届くんだ」「なくてはならない商品だった」と感動の声(まいどなニュース)https://t.co/XKzVcBNhck
— スラ弁(弁護士大西洋一) (@o2441) June 27, 2023
ここ数年間、週に3〜4日以上履いて履きつぶして全く同じものを買い替え…を何度かやってるユニクロの黒のブーツカットジーンズがどうやら廃番になっているようで悲しい。。。まとめ買いしておきたかった。
— chieko (@chiekoo) May 3, 2013
UNIQLOさん、ポンチワンピース(半袖)を再販?新発売?してくれんかなー
キレイめに着られてザブザブ洗えるから、夏場の仕事着にちょうどいいんだけどなー
しばらく前に廃番になって困ってるんだよなー— かんな (@kanna96) August 14, 2021
それゆえ今回の件は、取沙汰されたアイテムが障害児や要介助者などの親御さんの間で広く支持を集めていたという点もさることながら、上記のような“気付けばすでに廃番”という残念な経験をユニクロでしたことがある多くの人々から、大いに共感を得やすい話だったことも、広い支持に繋がった一因とも考えられそうである。
いっぽうでユニクロといえば、2001年とかなり以前から本格的な障害者雇用を始めたことでも知られ、現在は国内のユニクロとジーユーの店舗においては「1店舗1名以上の採用」を目標にしているとのこと。
直近の日本国内にあるユニクロも含めたファーストリテイリンググループの障害者雇用率は、なんと4.92%(2022年)と日本の法定雇用率(2.3%)を大幅に超えており、世界全体では約1,500名もの障害を持つスタッフが働いているということである。
今回の件では、ユニクロ側の“スピード感ある決断”も称賛を集めているようなのだが、障害者雇用にかなり積極的である同社の社風も、そういった素早い対応の背景にあったことも大いに考えられそうである。
今もなお尾を引く“ウイグル問題”で負った悪名
いっぽうで、今回の“廃番寸前から一転して販売継続”といった決断ができたのは、他ならぬ巨大企業のユニクロだったから……といった現実的な見方も。今現在190円で投げ売りされているような、ぶっちゃけ会社に利益をもたらさないようなアイテムでも、同社ほどの規模や売上を誇る企業なら、他の商品でいくらでも補うことは可能だろうというのだ。
素晴らしい。ただ、どこの会社でも出来るかというとそうではないと思う。ユニクロ規模の会社だから、採算を他で補い販売継続が実現したんだろうな。
仮に企業イメージの向上という打算があるにしても、既定路線を迅速に変更出来る柔軟さは、参考になる。 https://t.co/kqjWG1wHdT
— スナフキン@観る将FANKS (@sunafkins) June 27, 2023
ダントツの障害者雇用率といいなぜかユニクロは障害が絡むと異様にパワフルでスピーディなイメージ
あの企業規模と売上があるからと言っても閉じるはずの生産ラインとか生地やボタンの供給とか大変じゃないのかな https://t.co/Y8X7HF6sXw— 勤勉とは対極 (@Supertaidaman) June 27, 2023
さらには、今回の一連の報道で得られる企業イメージのアップを考えれば、売れない商品を作り続けるのも安いものだろうといった見方も。
利益にならない商品を社会貢献のために存続させるというのは企業イメージ(広告費)を考えれば安いもの。でも現実はわかっていてもできない大企業が多いわけだから、やはりこの英断は素晴らしい。
廃番しないで 投稿にユニクロ英断#Yahooニュース #Uniqlo #ユニクロ https://t.co/nIwSLWd2px— Yumi(明場由美子)英語発音コーチ (@englishbootcamp) June 27, 2023
「売れないからといって廃盤にしないで」というのは基本的な経済法則から逸脱したものだが、ブラック労働や新疆綿などの問題を覆い隠し、美談として世間に流布されるならコストとしては安い。
売れないからって「廃番にしないで」→投稿理由を知ったユニクロが5日後に英断https://t.co/R7sxJCDnjR
— ジツーニ・バ・カダーナ (@old_keynesian) June 26, 2023
近年のユニクロといえば、今年1月に国内のグループ従業員の年収を最大で約4割上げるとの発表が広く話題になったのも記憶に新しいが、そのいっぽうで2021年には、強制労働の存在が指摘されている新疆綿を用いた製品の製造・販売を、他の企業が抗議の意も込めて取りやめるなかで続行したことが、国内外から大いに批判され、企業イメージが大いに失墜したことも。
SNS上では今もなお“ユニクロ不買”を訴える声が飛び交っており、また今回の件に絡めて「そういう声は届くのに新疆綿……」といった声もあがっているようだ。
そういう声は届くのに新疆綿……
売れないからって「廃番にしないで」→投稿理由を知ったユニクロが5日後に英断 「声って届くんだ」「なくてはならない商品だった」と感動の声(まいどなニュース)https://t.co/GlmmLbYRHA
— 片瀬りのすけ (@endlesscharms) June 26, 2023
ユニクロにとっての英断は新疆綿を使わないこと。この声は柳生に届いているけどガン無視ですよ。https://t.co/ykXB1aEMOh
— オカベ坊や (@okabeboya) June 27, 2023
このように、ウイグル問題に起因するユニクロへの悪いイメージもかなり根強いいっぽうで、今回の件を巡っては「他の商品を買って買い支えたい」といった声も出ているなど、その好感度もかなり上がっている様子。ユニクロに対しての人々の評価は、ここに来てまさに毀誉褒貶相半ばするといった状況のようだ。
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