世界中で中国が暴走する状況は、目先の利益を最優先する「多国籍企業」が招いた

Flag of China on a processor, CPU Central processing Unit or GPU microchip on a motherboard. China is world's largest chip manufacturer, demonstrating the country's superiority in global supply chain.Flag of China on a processor, CPU Central processing Unit or GPU microchip on a motherboard. China is world's largest chip manufacturer, demonstrating the country's superiority in global supply chain.
 

いまや米国を抜いて世界の「覇権」を狙っているとされるお隣の大国、中国。日本のさまざまな領域で技術を「盗み」とっているとされる中国ですが、日本はどう戦っていけば良いのでしょうか? 今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、経済安全保障アナリストの平井宏治氏が、その戦い方についてアドバイスしています。

中国の「超限戦」といかに戦うか

世界覇権を目指す中国が目には見えない戦争、日本侵略への地歩を確実に進めているーー。

政府、民間企業、大学、研究機関など、様々な領域に入り込み、巧妙な手段で日本の軍民両用技術を盗み取っている中国の驚くべき超限戦の実態を、経済安全保障アナリスト・平井宏治氏に語っていただきました。

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中国共産党は、習近平が最高指導者に就任して以降、共産党一党独裁体制、国民監視をますます強固にしてきました。中国共産党は、世界覇権への野心を全まったく隠すことなく、「超限戦(ちょうげんせん)」を仕掛けています。

超限戦とは、政治・外交・経済・情報などのあらゆる手段を駆使する武器を使わない戦争のことを言います。経済力や技術力が覇権に直結する時代に入りました。

私の専門である経済安全保障の分野で言えば、超限戦によって日本の様々な企業や大学、研究機関の軍民両用技術が中国に盗み取られ、人民解放軍の最新技術を使う兵器に軍事転用されています。

「安全保障はアメリカ、経済は中国」と言う政治家や経済人もいますが、私たちは、中国の超限戦が静かに進行していることを認識しなければなりません。

東西冷戦が終結する前は、経済のグローバル化は、民主主義や法の支配といった理念、価値観を共有する先進国の中で進められていました。

ところが、東西冷戦が終わると、価値観の違いを脇に置いたまま東側、つまり社会主義国や中国のような独裁国家にまでサプライチェーンを拡げてしまったのです。

当時は、「経済的に豊かになれば中国は民主化する」と言われましたが、この想定は明らかに間違いでした。

当時の中国の最高指導者・トウ小平は、独裁体制を維持したまま改革開放路線を打ち出し、世界貿易機関(WTO)に加盟。アメリカをはじめとする西側諸国は、中国を「世界の工場」としてサプライチェーンに組み込みました。

中国も「14億人の市場」をアピールして、西側諸国から企業や投資を積極的に呼び込みました。中国で生産する商品は、最初は衣料品などのローテク製品でしたが、技術移転が進み、高度な機器まで現地生産するようになりました。

中国をサプライチェーンに組み込んだ経済成長の背景には、目先の利益を重視する株主資本主義があります。

法の支配や労働者の権利を考慮しない中国の独裁体制は手段を選ばず製造コストを下げたい多国籍企業にとり魅力的なものでした。

民主国家では考えられない低賃金で労働者を働かせる奴隷労働で利益を増やしたい多国籍企業の思惑と、加工貿易を拡大しながら、先進国の技術を吸収して経済、軍事力を高めたい独裁国家中国との思惑が一致したのです。

今日の状況は、利益を最優先する多国籍企業が招いた結果といっても決して過言ではありません。

image by: William Potter / shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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