金正恩がビッグモーター化。北朝鮮“ブチギレ大粛清”の笑えぬブラックぶり

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食糧難に加えて豪雨被害にまで襲われ、苦しい状況に立たされている北朝鮮。そんな中、被災地入りした金正恩総書記が党の幹部らに対して激怒したというニュースが飛び込んできました。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、その内容と韓国のシンクタンク研究員が分析した「金正恩総書記の狙い」を紹介しています。

経済がうまくいかないのはお前ら幹部連中のせい

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が怒った。北朝鮮の経済面での第一人者で最側近のキム・ドクフン首相をはじめ幹部らに対して「ごろつき」「間違っている」などと露骨に非難し大規模な粛清を予告した。食糧難に暴雨まで重なり、住民の不満が高まると、スケープゴート(scapegoat=「身代わり」「生贄(いけにえ)」などの意)を探そうと必死になっている模様だ。

労働新聞は22日、金正恩が前日平安南道被害復旧現場を訪れたニュースを伝えた。堤防が破壊され干潟区域が浸水したが、金正恩は党幹部らの「無責任な職務怠慢行為」により堤防建設作業が遅れたと指摘した。浸水被害を受けた168万坪のうち半分の81万坪に農作物を植えたが失敗した。

特に金正恩はキム・ドクフン首相に向かって「乖離性と非積極性」、「無気力な事業態度」、「歪んだ観点」などの表現を使って荒々しく責め立てた。それでも怒りが収まらないのか、「ここ数年間、キム・ドクフン内閣の行政経済規律がますます激しく乱れ、その結果、ごろつきたちが無責任な勤務態度で国家経済事業をすべて台無しにしている」とし「国家経済事業と各経済機関に対する党政策的および党籍指導を担当した党中央委員会の責任も大きい」と叱咤した。

続けて経済政策を担当した幹部たちを指して「全くなってない連中」とし、「厳重な被害を発生させた当事者として小さな問責や責務遂行に対する些細な意志さえ欠如した意識的怠慢行為」と非難した。

言葉だけでは終わらなかった。金正恩は「労働党中央委員会組織指導部と規律調査部、国家検閲委員会と中央検察所がある責任ある機関と当事者を探し出し党籍・法的にしっかり問責し厳格に処罰せよ」と指示した。早い話が大々的な粛清を予告した格好だ。

(韓国の)統一研究院の洪敏(ホン・ミン)先任研究委員は「キム・ドクフン首相は14日、金正恩が台風5号『カーヌン』の被害地域を現地指導した時には同行したが、今回はそうしなかった」とし「すでに調査を受けている可能性が高く、内閣総理(=首相)は交代の手順に進むものとみられる」と分析した。

統一部当局者は金正恩の行動について、「核開発による対北朝鮮制裁や国境封鎖措置など、誤った政策決定によってもたらされた厳しい経済状況に対する責任を内閣に転嫁した側面がある」と分析した。

北朝鮮は経済的・社会的不安状況のなか、責任を露骨かつあからさまに党幹部に転嫁した。金正恩は2020年と2021年の経済成果が低調な核心要因として党幹部の保身主義を挙げたりもした。世宗(セジョン)研究所の鄭成長(チョン・ソンジャン)統一戦略研究室長は、「内閣に権力を与えたにもかかわらず、成果を出せず誠意なく現地視察を行ったことについて、大々的な粛清を断行するものとみられる」と展望した。

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