不審死事件の説明なし。官邸脱出に成功した木原誠二は、まだ“影の総理”を続けるつもりか?

ak20230921
 

内閣官房副長官の要職にありながら妻の元夫の不審死事件に対する説明責任を果たすことなく、あくまでだんまりを決め込み続けた木原誠二衆院議員。その去就に注目が集まっていましたが、岸田首相は9月13日の内閣改造・党役員人事で、木原氏を党幹事長代理と政調会長特別補佐に任命しました。この人事の裏にはどのような力学が働いたのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、内閣官房副長官の退任劇を「木原氏による自作自演」として、そう判断するに足る理由を解説。さらに木原氏の「官邸脱出」を許した岸田首相を強く批判しています。

岸田の“頼みの綱”。妻の元夫怪死隠蔽の木原誠二が影の総理ぶる亡国

妻の元夫が不審死した事件の捜査をめぐる疑惑で去就が注目された内閣官房副長官、木原誠二氏は、今月13日の内閣改造・党役員人事で副長官を退任し、自民党幹事長代理と政調会長特別補佐を兼務することになった。

この奇妙な人事は何を意味するのだろうか。幹事長の部下でもあり、政調会長の部下でもあるという立場。裏を返せば、木原氏にはどちらつかずの自由が与えられる。首相と党本部をつなぐという名目で、慣れ親しんだ官邸に出入りすることに文句を言われることもない。人知れず、岸田首相の“参謀”を続けられるかもしれないのだ。

茂木幹事長、萩生田政調会長、ともに首相の座を狙っている。つまり来年秋の総裁選で岸田首相のライバルになりうる存在だ。そのもとで木原氏は情報収集ができるのである。この人事、岸田首相にとっては、ウルトラC級のアイデアではなかっただろうか。

読売新聞オンラインによると、官房副長官をやめたいと切り出したのは木原氏だった。8月18日の日米韓首脳会談のために訪米する途上、政府専用機内で岸田首相に申し出た。

むろん、妻の元夫の不審死事件に関する週刊文春のキャンペーン報道が原因だ。官房副長官の仕事の一つであるメディア対応を避ける日々が続き、いずれは国会で野党から追及されるかもしれない。官邸にとどまれば、岸田首相に迷惑がかかるし、自分としても苦しい。そんな思いが強かったのだろう。

岸田首相は困惑した。なにしろ、木原氏は岸田首相が頼りとする「軍師」である。安倍元首相における今井尚哉秘書官のように、「影の総理」とさえ呼ばれる存在だ。次から次へと押し寄せる難題にオールラウンドに対応してくれる木原氏が周辺からいなくなることは、政権を運営するエンジンを失うようなものである。

米国との関係構築にも、木原氏の存在は欠かせない。木原氏は英語が堪能で、ラーム・エマニュエル駐日大使と頻繁に会い、昵懇の間柄になっているといわれる。エマニュエル氏は、ビル・クリントン政権で大統領上級顧問、オバマ政権で大統領首席補佐官をつとめ、米政界で「タフネゴシエーター」として知られる。バイデン大統領とは、電話一本で話をつけられる仲だという。

エマニュエル氏のことを「日本という地にあって、アメリカのリーダーシップを示している」と木原氏が評しているが、裏を返せば、エマニュエル氏と木原氏の密なコミュニケーションによって、日本の米国追従姿勢がより強まったともいえよう。米国やG7の対ロシア制裁にスピード感をもって同調し、大幅な防衛費増強に踏み切ったのは、その表れだ。

 

今年1月、岸田首相の切望する日米首脳会談が実現し、ホワイトハウスでバイデン大統領から手厚い歓迎を受けたのは記憶に新しい。その華々しい舞台をセットできたのも、木原氏とエマニュエル氏の連携がうまくいったからだ。

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