これが無料で見学できるなんて。現役最古の官公庁舎「京都府庁旧本館」

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2023/08/26

京都府に長年住んでいながらも京都府庁旧本館を訪れたことがないという方は、意外と多いのではないでしょうか。

ネオ・ルネサンス様式の名建築といわれる旧本館は、まるで西洋の大邸宅のよう。建物内は見学をすることができ、今年(2023年)7月には新しくカフェもオープンしました。今回は、そんな魅力たっぷりの京都府庁旧本館を詳しくご紹介します。

明治時代に建てられた、レンガ造りの府庁舎

まるでヨーロッパのお屋敷のようなレンガ造りの京都府庁旧本館が建てられたのは1904(明治37)年。東京、兵庫についで日本で3番目に建てられた府県庁舎です。

1971(昭和46)年まで本館として使われ、現在も執務室として使用。創建時の姿をとどめる現役の官公庁建物としては日本最古のものです。

設計は松室重光氏。施工は京都の名大工・三上吉兵衛氏ら。ちなみに松室重光氏の実家は代々、京都市にある松尾大社、月読神社の神官を務めた家柄なのだそうです。

現在、国の重要文化財に指定されている旧本館は見学することも可能。2階には京都通の集団「NPO法人京都観光文化を考える会・都草」さんが常駐して、建物内を案内しています(詳細は文末を)。今回は特別に理事長の小松香織さんに案内していただきました。

ロマンチックな白亜の階段で写真を

ネオ・ルネサンス様式の名建築といわれる旧本館の正面は、左右対称になった横長の建物で、前に車寄せ、上には石造りのバルコニーが付けられています。

写真では左右が切れてしまっていますが、屋根は「マンサード」と呼ばれる形をした屋根が3つ付き、中央の屋根には「ドーマー(採光用の窓)」を備え、「ペジュメント(破風)」には見事な装飾が施されています。

中に入ってみましょう。入ってすぐに出迎えてくれるのが大理石の手すりがついた階段です。この階段、どこから見ても美しく、思わずため息がでるほど素敵です。正面の大きな窓を見ながらプリンセス&プリンス気分で階段を上がっていきます。


階段に付いている丸い鉄の輪は、レットカーペットを留めるためのものだそうですよ。

小松さんによると、ここでNHK朝の連続ドラマ『わろてんか』やドラマ『坂の上の雲』などの撮影も行われたのだとか。ピン!と来られた方、いらっしゃるでしょうか。

旧本館のメインの部屋「正庁」へ

階段を上りきると廊下には赤い絨毯が敷かれています。正面の部屋は、かつて式典や公式行事が行われていた「正庁」です。

正庁の見どころは、なんといっても天井。真ん中は漆喰塗で鏝絵が施されています。また、南側の扉を開けるとバルコニーに出ることができ(ただし現在は閉鎖中)、ここから庁舎前の美しいケヤキ並木を眺めることができます。

セピア色の壁はこのように凹凸がある美しいデザイン。

正庁から隣りの部屋に行く扉の上には、このようなペジュメント(破風)が付いています。小松さんによると格が高い部屋の扉にはペジュメントが付くのだとか。扉を見れば一目で重要な部屋かどうかが分かりますね。

ところで、このペジュメントについている彫刻と同じデザインが旧本館のいたるところにあることに気が付きました。

これらのモチーフとなっているのは「アカンサス(和名:ハアザミ)」という花と葉。ギリシアの国花で、古代より建築やインテリアなどの装飾モチーフとされてきた花なのだとか。

ウィリアム・モリスもデザインの中で使っていますし、小松さんによると「帯の文様などでも見ますよ」とのこと。旧本館にはこのアカンサスデザインがいろんなところに使われているので、ぜひ、見つけてみてくださいね。

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