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SNSが若者に及ぼす悪影響を放置…米33州がメタとインスタグラムを提訴。いっぽう期待の登場後、瞬く間にユーザー離れを起こしたスレッズの今は?

アメリカのカリフォルニア州など33州が、子どもや若者のメンタルヘルスの危機を助長しているとして、メタとインスタグラムを提訴したと報じられている。

訴状では「若者によるメタのソーシャルメディアプラットフォームの利用がうつ病や不安、不眠症、教育や日常生活への支障、その他多くのマイナスの結果と関連していることを調査が示している」と主張。

さらにメタが、リスクについて繰り返し人々を欺き、故意に子どもやティーンに中毒性の高いソーシャルメディアの利用を促したとも指摘し、「利益が動機だ」と訴えているという。

今回の提訴に関してメタは、若者による安全なオンライン利用に取り組んできたとし、 訴訟について「失望している」との声明を発表している。

若者の安全性より自社の利益を優先

今回報じられたのは33州によるものということだが、これとは別にフロリダ州や首都ワシントンなど9つの州や地域も、同様の提訴を行っているとのこと。

SNSの利用が若者らの健康に悪影響を与えると分かっていながら、それに依存するような仕組みを放置しつづけたことを批判するこれらの提訴だが、そのきっかけとなったのが、21年に大いに取沙汰された当時のフェイスブック元社員による内部告発。

それによるとフェイスブックでは、いいねやコメントなどといったエンゲージメントを増やすために、アルゴリズムがユーザーの怒りや憎しみを増幅するコンテンツを選ぶよう操作されているといい、この傾向は旧ツイッターなど他のSNSと比べても顕著だったということ。

いっぽうでインスタグラムに関しても、アルゴリズムが利用者の興味のある内容を繰り返し表示することで、悪いと思っても自分ではやめられない状態に陥らせ、そのことが若者のメンタルヘルスに悪影響を及ぼしているというのだが、フェイスブック側はそれらの状況を把握しながらも、若者の安全性より自社の利益を優先するために、放置し続けたというのだ。

米議会の公聴会でもこの件が取沙汰されるなど、相当な注目を集めることとなったこの内部告発によって、その名声に大いに傷付くこととなった当時のフェイスブック。

その内部告発の直後に同社は、今後の成長が見込まれるメタバース開発を事業の核に据えるといった理由で、社名をメタに改名することを表明したのだが、内部告発でイメージが悪化したフェイスブックの名を捨て、リブランディングを図りたかったというのが本音ではないかという話も、一部では噂されていたようだ。

とはいえ、そんなメタ側の目論見も空しく、今回の提訴の動きを見る限りでも、フェイスブックやインスタグラムが若者のメンタルヘルスに悪影響を与えているといった評価は、すっかり固定化してしまったといったところのようだ。

瞬く間に利用者が約70%減も…

近年メタといえば、メタバース事業に多額の投資を行う姿勢に投資家が反発し、22年には株価が急速に下落。さらに同年11月と翌23年3月には、いずれも約1万人を上回る大規模リストラを実施すると表明するなど、その舵取りの厳しさが伝えられる報道も多い。

いっぽうで同社のSNSといえば、今年7月には旧ツイッターがツイートの閲覧数制限をかけると表明するなどで、ユーザーが大混乱に陥ったタイミングを見計らったかのように、新たに「スレッズ」というサービスを開始。

【関連】メタ、Twitter対抗サービス『Threads』開始も「どうせキラキラ」とネット上の期待感は低め?InstagramやFacebookとの“望まぬ連携”を危惧する声も

しかし、いわゆる“分散型SNS”にカテゴライズされるサービスということで、旧ツイッターとの使い勝手の違いもあり、果たして受け入れられるのか……といった事前の危惧が的中する格好に。当初はサービス開始から5日で登録者が1億人の大台を超えるなど好調だったのだが、速攻でユーザー離れを起こしてしまったようで、デイリーアクティブユーザー数でみても、ピーク時の4400万人から2週間後には1,300万人と、瞬く間に利用者を約70%減らしたということだ。

もっとも、スレッズに関してはユーザー数底打ちの状態から、ここに来て逆に登録者が増えだしているといったもあり、またメタの株価も大分持ち直している状況なのだが、いっぽうで同社が注力するとしたメタバースの開発は、依然コストがかかるばかりで、利益を生み出すまでには至っていないというのが実際のよう。

そんな状況に降りかかった今回の提訴の動きということで、株価の動きもさることながら今後のメタの行く末にどのような影響を及ぼすのか、大いに注目が集まるところである。

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