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対馬の盗難仏像、韓国最高裁が日本の所有権認める。歪な反日意識が招いた長すぎた法廷闘争、その間には世界各国が韓国への文化財貸与を渋る動きも

長崎県対馬市の寺から盗まれた仏像を巡り、韓国の寺がその所有権を主張し引き渡しを求めていた訴訟で、26日に韓国最高裁は上告を棄却。所有権は日本の寺にあると認定した。

報道によると、最高裁は1973年に民法の「取得時効」が成立し、仏像が盗まれた日本の観音寺が所有権を得たと指摘。所有権を主張していた韓国の浮石寺は、仏像の所有権を失ったと判断したという。

所有権を巡り争われた仏像は、長崎県指定文化財の「観世音菩薩坐像」で、2012年に韓国人窃盗団が対馬市の観音寺から盗み出し、韓国に持ち込まれた。日本政府は仏像の返還を求めたものの、浮石寺がこの仏像を「14世紀に倭寇に持ち去られた」ものだとして、所有権を主張していた。

一審の韓国寄り判決で日本国内から猛反発

2016年に浮石寺が、仏像を保管している韓国政府に対して、その引き渡しを求めて提訴して以来、長らく続いてきたこの裁判。

17年の一審では、なんと浮石寺の所有権を認める判決が下されたものの、2023年に行われた二審においては、先の一審判決を取り消し、浮石寺の訴えを棄却する判決が下されることに。浮石寺側は最高裁に訴えたものの、今回の上告棄却で敗訴が確定し、長らく続いた法廷闘争に決着が付くこととなった。

韓国側の所有権を認めた一審判決時には、ネット上も含めて日本国内から激しい反発が沸き起こり、日韓関係が悪化する要因のひとつとなっていたのだが、22年に尹錫悦氏が韓国大統領に就任してからは、そんな両国間の険悪ムードも改善される方向に。

そのことも、一審における“所有権は浮石寺”という韓国寄りの判決が、二審以降に一転するといった展開に繋がった……かもしれないのだが、いっぽうで日韓関係においては、こちらも両国関係が悪化した一因とも言える「元徴用工訴訟問題」について、その解決に向けた両国政府の協議が大詰めになっている状況

そんな最中に、再び両国間の火種となるような司法判断が下されるのでは、といった危惧も少なからずあったところだったのだが、それはどうやら回避される格好となったようだ。

世界に広がった韓国への文化財貸与を渋る動き

いっぽうで、あくまで日本と韓国の間での揉め事といった印象が色濃いこの問題なのだが、先述の一審判決が出た直後には、世界各国が韓国に対して、文化財をレンタルすることを拒否する動きが出るという、韓国側にとっては思わぬ余波も出ていたようだ。

というのも2018年、高麗時代に描かれた仏教美術のひとつである「高麗仏画」を一堂に会した企画展を、韓国の国立中央博物館で開催しようと、日本にくわえアメリカやヨーロッパに散逸している仏画の貸与を、各国に要請。ところが、先述の通り対馬の仏像の所有権で揉めていた日本はもとより、その他の国の博物館や美術館もそれを渋ったというのだ。

欧米や日本など多くの国々では、文化交流を促進する目的で文化財の“差し押さえ防止”を定めた国際条約に加入、あるいは別途にそれに準ずる国内法を制定している国もあるというのだが、当の韓国はというと当時もそうだったのだが、今でもその制定に関対して、国内においては反対論が根強いといった状況。

そうなると「韓国にうっかり文化財を貸すと、何らかの因縁を付けられて返って来ない可能性が……」と各国が懸念するのも当然のことで、それゆえ貸出の拒否が相次いだというのだ。

あまりに“反日”に固執するあまり、盗んできた文化財の所有権まで主張するといった無理筋を通そうとしたことで、日本だけでなく他の国からの信用も失ってしまったというこの状況。

さすがにそれが馬鹿馬鹿しいとの意識も、今回の裁判の流れに影響したのかもしれないが、いっぽうで韓国国内では、依然として仏像の日本への返還に否定的な意見も多いようで、それが尹政権への批判再燃に繋がる可能性も無きにしもあらずのよう。裁判は終わったとはいえ、今後の動向にしばらくは注視が必要なようだ。

Next: 「居直り強盗みたいな行為を糾すのに11年もの年数…」

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