銃乱射事件を起こした犯人の「87%以上に共通すること」は何か?

Woman,Pointing,A,Gun,At,The,Target,On,Dark,Background,
 

アメリカなどの海外で発生することの多い、銃を使った乱射事件。犯人の精神的な診断はどうなっているのでしょうか。もりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、銃乱射事件の犯人について調査をした研究結果を紹介しています。

銃乱射事件の心理社会的因子と精神科診断

◎要約:『銃乱射を行った背景には未治療(もしくは不適切治療)の精神疾患と顕著な孤立状態が存在する可能性がある』

日本でも時々銃を用いた事件についての報道がみられますが、こういった事件の当事者の精神科診断等の背景はどのようなものなのでしょうか?

今回は、アメリカにおける銃乱射事件について、心理社会的因子や精神科診断を調べた研究をご紹介します。

A Retrospective Observational Study of Psychosocial Determinants and Psychiatric Diagnoses of Mass Shooters in the United States

銃乱射事件の心理社会的因子と精神科診断

銃乱射事件のデータベース(The Mother Jones databas)を元にして、1982~2019年に起こった115件の事件を対象としています。

分析の対象となったのは銃乱射を行った55人(35人は生存、20人は事件で死亡)で、生存者については司法手続きの過程で、各種の精神科的評価が行われています。

結果として、以下の内容が示されました。

・銃乱射犯のほとんど(87.5%)では誤診(と不適切な治療)が行われているか、全く診断(と治療)を受けていませんでした。

・大部分では、家族、友人、級友等からの顕著な疎遠状態に置かれていました。

・また、それに伴って対人関係の欠乏と未治療の精神疾患の悪化を認め、ネット上における言動の先鋭化が生じていました。

(精神疾患が治療されない背景として)精神科治療への繋がり難さについて改善を図る必要性を感じました。

image by: Shutterstock.com

もりさわメンタルクリニックこの著者の記事一覧

もりさわメンタルクリニックが発行する精神医学論文に関するマガジンです。最新の論文を主としておりますが、テーマを掘り下げてやや以前の論文を振り返ることもあります。毎日1本の論文を取り上げて要約をお伝えします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 精神医学論文マガジン 』

【著者】 もりさわメンタルクリニック 【発行周期】 日刊

print
いま読まれてます

  • 銃乱射事件を起こした犯人の「87%以上に共通すること」は何か?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け