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ビッグモーター、伊藤忠商事などが買収し再建へ。失墜した企業イメージ回復のため「ハナテン中古車センター」への屋号変更案も俄かに浮上中?

昨年、自動車保険金の不正請求問題で世を騒がせた中古車販売大手「ビッグモーター」だが、伊藤忠商事グループと企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)が買収する方向で最終調整に入ったようだ。

報道によれば、伊藤忠などはビッグモーターを2つの会社に分けるといい、中古車販売事業を運営する新会社を設立したうえで、従業員などを引き継ぐいっぽうで、株式を実質保有する兼重宏行氏ら創業家は関与させないようにするとのこと。

また、ビッグモーターの持つ不動産などを引き継ぐ会社を別に設け、こちらには不正請求問題の対応に当たらせるという。

伊藤忠は中古車販売事業を運営する新会社に、最大200億円を出資することを検討しているとのこと。現在、買収を巡ってビッグモーター側と詰めの交渉を行っており、4月にも新たな体制を発足させる考えだという。

伊藤忠商事“ビッグモーター”買収のメリットは?

かねてから一部媒体では取沙汰されていた、自動車保険の不正請求ならびに不正整備などの疑惑が、昨年7月ごろになって大手メディアなどが大々的に報じるようになり、それまで築き上げてきた企業イメージがすっかり地に堕ちてしまったビッグモーター。

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保険金の不正請求問題に関しては、ビッグモーターとの“癒着”が指摘されていた「損害保険ジャパン」の社長が、昨年9月になって辞任へと追い込まれる事態に。さらに同11月には、金融庁がビッグモーターの保険代理店登録を取り消す決定を下し、まさに会社としてトドメを刺される格好となっていた。

いっぽうで、保険金不正請求疑惑とともに大いに取沙汰された、店舗周辺の街路樹に対する器物破損疑惑だが、これに関しては今年1月になって、本社に勤務していた50代社員が逮捕されることに。同容疑者は本社にて「環境整備推進委員」なる立場にあり、各地の店舗に対し街路樹の伐採等を指示していたようで、一連のビッグモーター騒動における初めての逮捕者となった。

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そんな状況のなか、伊藤忠商事などは昨年11月にビッグモーターとの独占交渉権を得て、再建支援に向けた資産査定を進めていたとのこと。

SNS上からは今回の“買収報道”について、ビッグモーターが全国各地に持つ土地が目当てなのでは……といった声も一部ではあがっているのだが、そもそも伊藤忠商事は、ニッポンレンタカーサービスを傘下に持つ東京センチュリーの筆頭株主であり、また高級輸入車販売のヤナセも連結子会社ということで、ビッグモーターの買収にはそれら自動車関連事業の強化という意味でも、一定のメリットがあるよう。

また、先述したように保険代理店登録を取り消されてしまったビッグモーターだが、伊藤忠商事は来店型保険ショップ「ほけんの窓口グループ」を子会社に抱えており、それとの連携でグループの利益拡大に繋げたいといった思惑もあるという。

いっぽうで、現在のビッグモーター社内の状況はというと、業績悪化後も2023年末までは社員の給料が前年度並みに保証されていたとのことだが、昨年12月頃から急に退職者が増え始めたといったもあるよう。今後のさらなる人材流出を避けるためにも、伊藤忠側としては早急に買収話をまとめる必要があるといった状況のようだ。

ビッグモーターに飲み込まれたハナテン

そんななか、伊藤忠側が今回のビッグモーターの支援や買収における絶対条件のひとつとしていたのが、創業家一族の経営からの切り離し。

ビッグモーターが様々な不正に手に染めるようになったのは、利益至上主義の創業家親子が社内で強権を振るっていたからゆえ……というのは、昨年あった一連の報道で詳らかになっており、それらとの絶縁は信用回復のためにも必要不可欠といったところだが、それと同時に巷で取沙汰されているのが、すっかりマイナスのイメージを帯びてしまった“ビッグモーター”という名称の今後。

そんな状況を受け、ここに来てSNS上で俄かに切望する声が高まっているのが、ビッグモーター改め「ハナテン中古車センター」への屋号変更プランだ。

ハナテンといえば、1960年代に大阪市内で創業した中古車の買取業者。関西地方のテレビ局では、主に深夜の時間帯に「あなた、クルマ売る! 私、高く買うわ。」とのキャッチコピーが印象深い同社CMが、長きに渡って放映されていたこともあり、同地方においては抜群の知名度を誇っていた企業である。

ところが2005年になると、当時すでに西日本最大の自動車販売会社に成長し、さらなる店舗網の拡大を狙っていたビッグモーターが、ハナテンに資本参加をしグループ傘下に収めることに成功。その後の2016年には、ハナテンの全店舗がビッグモーターに転換され、ハナテンの名は表舞台から消えてしまったのだ。

とはいえ、今度はそのビッグモーターが存亡の危機ということとなれば、ここはある一定の年齢層以上の関西人の郷愁を掻き立てて止まない「ハナテン」の名を再び掲げることで、負のイメージを完全払拭できるのでは、といった考えのようなのだが……。実際にどうなるのかはさておき、とにかくあれだけの悪名を負ってしまったビッグモーターだけに、それぐらいの大胆なことをしないことにはイメージ回復は困難なのでは、というのが多くの人々の見方であるようだ。

Next: 「そのうち、ファミマが車販売店と融合なんかも…」

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