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PTA非加入の子ども“卒業記念品なし”は当然か否か。PTA活動に背を向ける保護者らへの「ずるい」との感情が“記念品差別”を許容する土壌に?

PTAに未加入である家庭の子どもが、卒業生に贈られるPTAの記念品をもらえず、子どもが悲しい思いをした……といった声が、近年SNS上で多くあがっているとして、そのことの是非が大いに議論される展開となっているようだ。

取沙汰されているのは、毎日新聞による『PTA未加入で卒業記念品なし 「ほしいなら実費払って」は是か非か』という記事。それによれば、現状記念品を巡っては、PTAの加入・未加入に関係なく、全員に記念品を配る学校もあれば、加入者のみに配るところもあり、対応は各学校で分かれているとのこと。

また、PTAへの未加入者が増えた学校では、加入者が未加入者分の記念品代を負担しきれず、記念品贈呈をやめた学校も存在するのだという。

PTA会費、全国の平均は?

本来は任意加入の団体なハズなのに、実際のところは自動的に加入させられ、活動への従事や会費の負担を強いられる……といった実態が、メディアやSNS上などで批判されることが殊に増えたPTA。

いっぽうで近年では共働き家庭が普通になってきたこともあり、役員や委員などのヘビーな役割を担うことが現実的に不可能だという保護者も増えていることもあり、そういった理由で活動がままならなくなった各学校レベルのPTAのなかには、“解散”という決断を下すところも増えているようである。

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また「日本PTA全国協議会」を頂点とした、いわゆる“負担金上納システム”を伴う階層的な全国組織のあり方に対しても、各地のPTA組織から疑問の声が噴出している状況で、「東京都小学校PTA協議会」をはじめとした各地のPTA組織が、全国協議会から退会するといった動きも、ここに来て顕著になっている。

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このように、もはやPTAそのものが瓦解寸前……といった印象も色濃いわけだが、そのいっぽうで“過渡期”ならではの状況として、PTAそのものは相変わらず存在するものの、それに非加入だという家庭が相当数存在するといった学校も数多く存在。今回のいわゆる“記念品差別”といった事態は、そのような状況の学校において多く起きている問題のようだ。

というわけで、今回の報道を受けてSNS上では再び様々な意見が飛び交う展開となっているようなのだが、やはり「可哀そうだ」といった声と同じぐらい、あるいはそれ以上に幅を利かせているといった印象なのが、「金を払わないなら記念品をもらえないのは当たり前」との声。

ちなみにPTAの会費自体は、各地でその額がまちまちであるといった状況もありながらも、公立小学校のPTA会費が最も高い自治体でも年額7,000円程度で、平均すれば年額3,000円ちょっとというのが相場。いずれにしても、月に均せば1,000円にも満たない金額のようである。

実際、このところのPTAへの参加を忌避する保護者が増えている動きに関しては、そういった金銭的な負担が云々というよりも、拘束される時間が異様に長かったり、人間関係がとにかく煩わしいといった点などが、大きな理由とされているところ。

しかしながら今回の報道においては、そのタイトルにおいて『「ほしいなら実費払って」は是か非か』とあることもあってか、「金も払ってないくせに…」といったPTA非加入者はあたかも乞食同然、といった反応が続出する展開になっている状況。

そうでなくとも最近では、PTAに加入しないという選択をする保護者に対して、逆に加入している保護者らが「ずるい」といった感情を抱く傾向もかなり広がっているところ。そういった風潮も、PTA非加入家庭の子どもが不利益を被るのは当然……といった声に繋がっているようなのだ。

PTA会費ではなく別の費目で賄えば…との声も

そんななか、記事内にも同様のことは指摘されているのだが、もはやPTA会費から記念品の費用を捻出するのが不公平といった状況になっているのなら、それとは別枠で実費を集めればいいのでは、との声も。

実際多くの学校では、たとえば卒業年を迎えた児童がいる家庭からは「卒対費(卒業対策費)」を徴収し、それが卒業アルバムの製作費用などに充てられている。そこで渦中の記念品に関しても、PTA会費ではなく別の費目で賄うようにすれば、今回のような話で揉めることもなくなる……というのだ。

そもそもPTA会費から卒業記念品を贈呈するというのは、過去にすべての保護者がその意思にかかわらず、自動的にPTAに加入させられていたからこそ。その前提がすでに崩壊している今となっては、記念品の贈呈自体を止めることも含めた対応も必要では……そんな声もかなり多いといったところのようだ。

Next: 「PTAと卒業記念品代を切り離して…」

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