立憲民主党は政権交代の目玉政策「消費税減税」を決断するか?無党派層5000万人が「そろそろ狩るか…」自民下野に動く日

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立憲民主党の候補が、3選挙区すべてで“ゼロ打ち”当選した先月28日の衆院補欠選挙。自民党が「完敗」したのは事実だが、立民が「完勝」したと捉えるのは間違っていると釘を刺すのは、『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこ氏だ。今回の投票率はいずれも過去最低を更新、約5000万人の無党派層が動いておらず、これでは政権交代などおぼつかないというのがその理由。きっこ氏は、立憲民主党が野党共闘で「時限的消費税減税」を掲げないかぎり、政治的無関心層を動かして政権交代を実現するのは難しいと予測する。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:補選から解散総選挙へ

自民党「全敗」は当然の結果、衆院補選

4月28日(日)に投開票が行なわれた衆院補選は、島根1区は亀井亜紀子氏が当選、長崎3区は山田勝彦氏が当選、東京15区は酒井菜摘氏が当選と、3選挙区すべてで立憲民主党が勝利しました。それも、開票が始まった20時ちょうどに3人揃って当確が出るという、いわゆる「ゼロ打ち」でした。

この結果を受けて、新聞各紙は「自民全敗」と報じましたが、自民党支持者の中には「自民党は3選挙区のうち1カ所しか候補を擁立しなかったのに『全敗』と報じるのはおかしい」と言っている人もいます。

しかし、この3選挙区は、もともと自民党の議席だったのです。つまり、自民党は3選挙区に候補を擁立して全勝して、ようやくトントンだったのです。

それが、保守王国である島根1区で惨敗しただけでなく、長崎3区と東京15区には候補を擁立することすらできなかったのです。これは、政権与党として「敵前逃亡」と同じくらい恥ずかしいことであり、自民党は選挙の前からすでに負けていたのです。

そして、この結果は多くの人たちが予想していたことであり、何なら自民党内部にも「全敗」を覚悟していた人が数多くいました。

だが立憲民主党の「完全勝利」ではない。選挙結果分析

それでは、まずは3選挙区のすべての候補の得票数と得票率を見てみましょう。

【島根1区】
[当] 亀井亜紀子(58)立憲民主党 82,691票(58.8%)
   錦織功政(55)自由民主党 57,897票(41.2%)

【長崎3区】
[当] 山田勝彦(44)立憲民主党 53,381票(68.4%)
   井上翔一朗(40)日本維新の会 24,709票(31.6%)

【東京15区】
[当] 酒井菜摘(37)立憲民主党 49,476票(28.98%)
   須藤元気(46)無所属 29,669票(17.38%)
   金澤結衣(33)日本維新の会 28,461票(16.67%)
   飯山陽(48)日本保守党 24,264票(14.21%)
   乙武洋匡(48)無所属 19,655票(11.51%)
   吉川里奈(36)参政党 8,639票(5.06%)
   秋元司(52)無所属 8,061票(4.72%)
   福永活也(40)NHKから国民を守る党 1,410票(0.83%)
   根本良輔(29)つばさの党 1,110票(0.65%)

得票数と得票率だけ見れば、3選挙区ともに立憲民主党の圧勝と言えます。また東京15区に関して言えば、日本共産党が阿吽の呼吸で候補擁立を見送ったことが、この結果につながったと思います。

そして、れいわ新選組の山本太郎代表が応援に駆けつけた無所属の須藤元気氏も、立派に善戦したと思います。

その一方で、前原誠司氏率いる教育無償化を実現する会が推薦した日本維新の会の金澤結衣氏日本保守党の飯山陽氏、都民ファーストの会と国民民主党が推薦した自称無所属の乙武洋匡氏などの「ネオ保守」たちは、自民党の受け皿になり切れず、逆に自民票を奪い合う形で自滅したように見えます。

個人的には、鳴り物入りで出馬した乙武洋匡氏が、小池百合子都知事国民民主党の玉木雄一郎代表などの応援を受けながら、5位に惨敗したことが意外でした。

一時は自民党も乙武氏を推薦しようとしていたので、この点だけは推薦を見送った自民党の判断が正しかったようです。もしも自民党が乙武氏を推薦していたら、自民党のダメージはさらに拡大していたでしょう。

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