ビッグモーター、新会社「WECARS」で再スタート。伊藤忠などが400億円を出資も社内ではなおも脱法行為やパワハラ等が横行と再生は前途多難か？

ビッグモーターの事業を引き継ぐ伊藤忠商事が1日に記者会見を開き、新会社を1日付けで設立したことを発表した。

報道によれば新会社の社名は「WECARS（ウィーカーズ）」で、社長には元伊藤忠商事執行役員の田中慎二郎氏が就任するとのこと。伊藤忠商事とその子会社でエネルギー商社の伊藤忠エネクス、そして企業再生ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ（JWP）が共同で出資し、合わせて400億円を拠出するという。

新会社は、中古車販売事業や車の整備事業などすべての事業を引き継ぎ、およそ4,200人の従業員の雇用も継続する。いっぽうで旧ビッグモーターは、分割されたあとの存続会社として、保険金の不正請求に関する損害賠償への対応や、負債の処理などにあたる。

新社名「ハナテンじゃないのか」との声も

昨年11月にビッグモーターとの買収に向けての独占交渉権を得ていた伊藤忠グループ。当初は今年4月中を目指していた新たな体制の発足は、5月にずれ込んだものの、当初報道されていた最大200億円よりも多い、400億円もの出資が決まったようだ。

いっぽうで再スタートにあたっては、あまりにもマイナスのイメージを負いすぎた“ビッグモーター”という社名の変更は、どう考えても不可避といったところ。

ということで、新社名は「WECARS（ウィーカーズ）」ということになったのだが、これに対してSNS上では「ウィーカーズ　すなわち、weakers = 弱者達・へたれ集団」とも取れるとの憶測が広がるいっぽうで、「ハナテン中古車センターじゃないのか」との声も聞こえるなど、反応は様々といったところである。

WECARSらしいけど、カタカナ読みするとウィーカーズ
すなわち、weakers = 弱者達・へたれ集団
社名をヘタレにかけるってどんなセンスよ#伊藤忠商事#wecars #ビッグモーター#犯罪者集団

ビッグモーター、社名｢WECARS｣に　伊藤忠商事など事業承継 – 日本経済新聞 https://t.co/r3OmRVdMzP

— Blayamori (@blayamori) May 1, 2024

ビッグモーターの新社名はWECARSか。
ウィーカーをWeakerだとすると、「弱ってる」とか「元気ない」みたいな意味じゃなかったっけ。
伊藤忠にしてはギャグセンスいいな

— DJ BUTTER (Pablo 古屋) (@djbuttertokyo) May 1, 2024

ハナテンじゃないのか。
残念・・・。 https://t.co/r1aOBPPX1n

— パタぺン@今年もAREをしたい (@patapen) May 1, 2024

【関連】ビッグモーター、伊藤忠商事などが買収し再建へ。失墜した企業イメージ回復のため「ハナテン中古車センター」への屋号変更案も俄かに浮上中？

このように、ある意味での社名ロンダリングまでも余儀なくされるような、紛れもなく“いわくつき”の会社を買収するに至った伊藤忠グループ。世間からは“火中の栗を拾う”とも言われ、さらに買収の噂が出始めた当初には、全国各地の店舗用地などといったビッグモーターの資産が目的では……といった憶測まであがっていたもの。

だが、上記のような巨額な出資にくわえ、伊藤忠商事からは経営幹部をはじめ50人超もの人材を新会社の幹部要員として送り込むということで、伊藤忠グループによるビッグモーター再建への本気ぶりが一応は窺えるところである。

騒動発覚後も相次ぐビッグモーター社内での不祥事

だがその反面で、ビッグモーターという会社の抱えている闇は、想像以上に深いのではないか……といった見方も多いよう。

というのも先日あった報道では、ビッグモーター内部では懲戒解雇や降格などの処分が下るような社員らによる問題行動が、近々で少なくとも十数件はあったというのだ。

その具体的な内容だが、査定システムに登録された車両4台とその顧客の情報を元従業員に漏洩したり、買い取り車両に関する備品600点以上をメルカリに出品して約220万円を得ていたり、さらに客から現金で受領した販売車両代金205万円を着服したりと、ズバリ横領に問われそうな問題行為もあった模様。

また、ボールペンを従業員の耳や指に刺すといった暴行や、女性スタッフへの性的発言や女性の体を触るといったセクハラ行為、さらには従業員をただ単に殴るといったパワハラにくわえ、他社従業員への暴行・脅迫なども取沙汰されたというのだ。

伊藤忠グループは、今回のビッグモーター買収にあたって、創業者一族や旧首脳陣などを、新会社の経営陣には決して入れないということを徹底したわけだが、このような社内不祥事の続出ぶりを見てみると、ビッグモーター社内に巣くう悪しき病は上層部だけでなく、社の隅々にまで蔓延しているとみて間違いなさそうな状況。

そうでなくとも、ビッグモーターを巡る一連の騒動では、街路樹への除草剤散布の問題に関しては、指示を行ったとされる責任者などが逮捕されることとなったものの、保険金の不正請求問題に関しては逮捕者などが出ることなく、闇沙汰にされているといった状況で、下手をすれば未だにビッグモーター社内にそういった人材が残留していることも大いに考えられるところ。

新会社としてはビッグモーターの経営立て直し以前に、こういった不良分子も数多いであろう社員の面々に対して、コンプライアンス意識を徹底的に叩きこむというのが、当面の作業となってきそうだが、それも一筋縄ではいかなそうというのが正直な印象である。

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